建設業許可の更新忘れの失敗例5つと対応策と申請要件を解説 

2021/11/29

2022/01/06

建設業許可の更新忘れのパターンとして失敗例を5つ、更新忘れをしないための対応策や必要な書類や費用など更新申請の要件を解説します。

建設業許可の有効期限は、取得から5年間です。建設業許可の更新申請を忘れて更新をしないままでいると、最悪の場合は建設業許可を失効して事業運営に影響します。

更新手続きはしたのに受付で不備でスムーズに建設業許可を更新できない例もあります。

今回は「建設業許可を更新できない」をテーマに、更新をし忘れてしまったケースの対応以外に、そもそも更新を忘れないための対応策、更新要件・費用・必要書類について解説します。

Contents

建設業許可の更新失敗例にはどんなものがある?

建設業許可の更新には、更新忘れの方や不許可などの少なからずトラブルがあり、スムーズに更新できないケースが見受けられます。

  • 失敗例1:更新を忘れていて更新期限を過ぎて申請した
  • 失敗例2:忘れずに申請したが更新日に間に合わない
  • 失敗例3:建設業許可更新の申請書類で不備があって不許可になった
  • 失敗例4:建設業許可の変更届を出し忘れていて更新時に要件を満たさなかった
  • 失敗例5:更新せずにそのまま建設業許可を失効させてしまった

それぞれ失敗例を見ていきましょう。

失敗例1:更新を忘れていて更新期限を過ぎて申請した

建設業許可では「5年の有効期間が満了する日の30日前まで」の更新申請が義務付けられています。

建設業許可の更新は、5年の有効期間が満了する日の30日前までの更新期限、つまり有効期限の実質2カ月前(60日前)までにスタートさせます。建設業許可の更新には複数の手続きがあり手戻りがあるケースもあるため、有効期限までに問題なく更新完了させるための猶予期間を設けているととらえてよいでしょう。

「5年の有効期間が満了する日の30日前まで」がよくわからず、気がついたら更新期限が過ぎていたケアレスミスや、有効期限の30日前までに更新という思い違いから「更新を忘れていて更新期限を過ぎて申請した」失敗例は珍しくありません。

建設業許可の更新期限の考え方

更新期限の考え方を次の例題で確認してみてください。

例題:
Q.あなたは2021年の4月1日に建設業許可を取得しました。有効期限と更新日と更新期限はいつですか?

回答:A.有効期限は建設業許可の取得日(2021年4月1日)の5年後なので、有効期限の回答は「2026年3月31日」です。「2026年3月31日」まで建設業許可は有効です。

建設業許可の更新日は有効期限(2026年3月31日)の30日前までなので、更新日の回答は「2026年2月28日」です。なお、月末日で計算されるので、うるう年の2月のケースは29日までとして処理されます。

建設業許可の更新期限は更新日(2026年2月28日)の30日前までなので、更新期限の回答は「2026年1月31日」です。更新期限までに更新申請手続きをスタートさせる必要があります。

更新期限は過ぎてしまったが有効期限内である場合、有効期限が過ぎても2週間程度であれば「猶予期間」を設けて建設業許可申請の修正・受付手続きを受け付ける地方整備局や自治体もあります。まずは建設業許可の更新忘れに気づいた時点で、申請先の機関に相談しましょう。

建設業許可の満了日までなら更新手続きはできる

建設業許可の満了日とは、建設業許可の期限が切れる1日前のことです。例えば、2021年12月1日が有効期限の建設業許可であれば、2021年11月30日が満了日です。

建設業許可の更新では、更新期限を過ぎてしまった場合でも、実は建設業許可の満了日までであれば更新手続き自体は可能です。満了日前までに更新忘れに気づいた時点で建設業許可の申請先に相談し、対応しましょう。

ちなみに、更新せずに満了日を向かえて請負金額が500万円を超える工事をそのまま続行すると「無資格」として建設業法違反の罰則対象です。請負金額が500万円を超える工事を続けるためには5年間のペナルティー(不利益処分)期間を経て、再び建設業許可の新規申請することになります。

建設業許可の更新時期が近付くと、申請時に記載した事務所に「更新時期のお知らせ」のハガキが届くので、お知らせが来てすぐに更新手続きににとりかかればまず問題ありません。

また、各事業所の建設業許可の有効期限は、許可取得に送付された「許可通知書」に記載されています。カレンダーや手帳アプリなどに更新期限をメモするなどのスケジューリングをして更新忘れを防ぐのがおすすめです。

失敗例2:忘れずに申請したが更新日に間に合わない

「更新手続きをスタートしたけれど、更新日に間に合わない」というケースです。更新期限を過ぎて更新手続きをはじめると、手続き完了が更新日を超えてしまうことがあります。

建設業許可の更新手続きは複数の手続きがあるために1日では終わりません(手続きの詳細はこの後の「参照:建設業許可の更新手続きの流れ」の項目で説明します)。

最低でも更新日の2週間前までには取り掛からないと、更新完了は更新日を超えてしまいます。満了日までに更新完了すれば基本的には問題ないものではありますが、自己判断せずに更新日までに間に合わないと気付いた時点で管轄の地方整備局や自治体、または建設業専門の行政書士へ連絡や相談をしましょう。

参照:建設業許可の更新手続きの流れ

建設業許可の更新申請には複数の手続きがあります。建設業許可の更新期限までに【手続き4】までを終えていることが理想的なので、更新期限の30日前を目処に建設業許可の更新をスタートするとスムーズです。

窓口 郵送
手続き1 事前チェックサービス(予備調査) 申請書郵送
手続き2 申請書提出(窓口審査) 入金指示(郵送審査)
手続き3 手数料納入 手数料送付
手続き4 受付(申請完了)〜審査(30日程度)*書類不備があれば対応
手続き5 許可(通知書を受け取り)

詳細は、以下の関連記事を是非ご覧ください。

建設業許可の有効期間は?更新期限は?いつ申請すべきかを解説

大幅に更新日を過ぎての更新は始末書を提出することになる

「有効期限の1日前までに更新すれば、ぎりぎり間に合う」とつい考えてしまいがちですが、更新期限を過ぎた更新手続きにはリスクがあります。

更新期限までに更新をしなかった場合に反省文(始末書)の対象となるリスクです。できるだけ建設業許可の更新は5年の有効期間が満了する日の30日前までに手続きが完了できるよう、申請手続きの準備をスタートさせましょう。

  • 土日の役所対応と郵送事情にも注意

建設業許可の更新は各地方整備局等にて行われますが、役所は土日祝日の対応はありません。ぎりぎりで手続きすればいいと考えていると、土日や祝日が原因でスケジュールが厳しくなります。
郵送で申請書類を提出するときも、郵便事情で遅れることもありますので、できるだけ余裕をもって手続きしましょう。

失敗例3:建設業許可更新の申請書類で不備があって不許可になった

きちんと建設業許可の更新期限を意識して申請したにもかかわらず、書類不備でスムーズに更新できない方もいます。

【申請書類の不備のよくある例】

  • 決算変更届(事業年度終了報告)を毎年提出していない
  • 登記簿謄本(会社名・住所など)の変更があったのに、変更届を出していない

更新手続きをしたにも関わらず不備の場合は、偽造申請がない限り、建設業許可がただちに失効することはありません。申請書不備の状況にあわせた対処をしましょう。

申請書不備の状況 建設業許可に必要な対応 備考
申請書に不備があることが審査前にわかる 建設業許可の審査受付されるように不備を直して再申請 受付前なので手数料は受付されない
申請書に不備があることが審査受付後にわかり、ケアレスミスを指摘される 有効期限までに指摘された不備を直して建設業許可の審査を再度申請 建設業許可の有効期限に間に合えば失効にはならない
申請書に不備があることが審査受付後にわかり、偽造申請と判定される ペナルティーで指定された期間を経て、建設業許可を新規で申請し直す 建設業許可が更新されずに失効。偽造申請の場合、申請手数料は戻らない

失敗例4:建設業許可の変更届を出し忘れていて更新時に要件を満たさなかった

建設業許可では毎年1回出さなくてはいけない「決算変更届(事業年度終了報告)」という名称の「変更届」と、事業主が会社名や責任者を変更した際に出す「変更届」があります。

関連記事:建設業許可変更届出書の出し方:様式・期限・費用・必要書類・記載例

これらの変更届を出さなかったために、建設業可の更新手続きに求められる要件を欠き、許可の取り消しから、許可の効力が失効してしまうパターンがあります。更新時に変更届を出し忘れてしまったことに気づいた場合、建設業許可の要件で求められる事業状況に変化がないなら、すぐに変更届を申請できれば許可を取得できます。

ただし、「専任技術者の退職等があり、すぐに代わりの人を採用できない」という建設業許可の要件を満たさない変更があったケースでは、すぐに変更届は出せません。
変更届を出しても実質と書類上の状態に差が生じる場合、建設業許可の取り消しもあります。
更新要件を満たさない状況のまま更新手続きを進めたことが判明しても、行政指導として建設業許可が取り消されます。

なお、許可を取り消された場合のペナルティーとして再度申請が行えるようになるまでに5年間待たなければなりません。

また、申請書を提出した段階で窓口審査によって「欠格要件」を照会します。通常、不備があれば更新手続きのスタート時には発覚しますが、申請書が受理されたあとに、反社会勢力とのつきあいがあるなどの欠格条件が発覚して不許可となったケースも数は少ないですが、あります。

失敗例5:更新せずにそのまま建設業許可を失効させてしまった

建設業法第3条の3項では「有効期限内に許可更新を行わなければ失効する」旨が記載されているため、建設業許可の更新期限だけでなく有効期限も過ぎてしまった場合、残念ながら建設業許可の再取得(新規での取得)となってしまいます。

3 第一項の許可は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
(参照)建設業法|e-Gov法令検索

建設業許可を再取得できる?

ネット検索では建設業許可の失効後の許可取得について調べると、新規取得でも「再取得」と呼ぶ傾向にあります。手続き上「再取得」という制度はないため、実際の手続きは新規での取り直しです。

前回使った書類を保存している場合、そのまま流用できる書類もあるため、完全な新規で申請するよりは労力は少ないでしょう。

*具体的な建設業許可の再取得(新規取得)の方法として、要件と必要な費用と書類と注意点については近日公開予定の記事で解説します

放置で失効させるよりも更新しないなら「廃業届」を出そう

建設業を半ば廃業していて、建設業許可の更新手続きを積極的に行わない場合、事業主が廃業届を提出していなくても放置していれば、満了日を過ぎると自動的に役所は建設業許可を取り消します。

しかし、役所が建設業許可を取り消すときは記録上「抹消」となり、建設業の事業主が自ら廃業届を提出した場合と扱いが多少変わることがあり、これまで許可を保有していた期間や実績まで抹消されるケースが見られます。

今後少しでも建設業許可を受ける可能性があるなら、リスク回避のために廃業届を出しておいた方がトラブルを避けられます。

建設業許可の更新を忘れやすい理由と対応策

これまで建設業許可の更新忘れなどの失敗例を解説しました。更新を忘れて建設業許可を改めて新規で取得するには、労力もお金もかかりますが、更新手続きを忘れてしまう方は少なくはありません。

そもそも建設業許可の更新を忘れる方が多い背景には、建設業許可の制度にも関係があります。建設業許可の更新を忘れやすい理由と対応策について解説します。

更新申請すべき許可の種類も更新日も複数あって大変

実感されている方もいるでしょうが、更新申請すべき許可の種類も更新日も複数あってスケジューリングが大変だというのは一因です。

建設業の許可申請は業種ごとに必要で、申請時期が異なれば、有効期限と更新期限も違います。ひとつの事業所で複数の許可をもっている場合、それぞれの業種ごとに更新手続きが必要です。

対応策:更新日の異なる業種は一本化する

業種追加の申請と同時に、有効期間の残っている他の許可も同時に許可の更新申請をして一本化できます。2つ以上の許可を受けている場合、1つの許可の更新申請をする際に有効期間の残っている他の許可も同時に、許可の更新申請もできます。
一本化手続きをすると、業種追加する許可はもともと有効期間の満了する許可にあわせ、許可日は同一となります。

なお、2つ以上の許可を合算して一本化する手続きでは、それぞれの許可の有効期限が一定以上ある必要があります。例えば、神奈川県知事許可申請では原則3ヶ月以上の有効期限が必要です。

一本化手続きの詳細や申請タイミングについては管轄の役所の窓口か専門家の司法書士に相談しましょう。

建設業許可を取得した事業所が支社・支店の扱いで本店との関係性が複雑

建設業許可は、登記簿上の本店以外の営業所である支社・支店も、建設業法上の営業所として取得できます。そのため、本店以外の支店が取得した場合、本店と住所が違うと、申請先や申請を行う担当も異なり、建設業許可の更新手続きを忘れがちになってしまいます。

対応策:許可申請の主体をはっきりさせる

建築現場では元請けと下請けがあるのは大前提です。近年問題となっているのは、元請けが下請けの建設業法の許可取得について把握していないことです。下請けに発注する際に、契約書などで建設業許可の取得と有効期限についてのチェック欄を設けるなど、下請けの更新状況にぬけがないようにするチェック体制を築いていきましょう。

また、建設業許可の有効期限と更新手続き日を事業計画の中に入れるのはもちろんのこと、更新手続きの3か月前くらいに一度、誰が更新手続きを担当するのか、必要書類がそろっているか、手続きの流れはどうなっているのかもあわせてチェックしましょう。

建設業許可の更新要件と必要な費用と書類

建設業許可の更新要件、更新にかかる費用と必要書類について解説します。

建設業許可の更新要件

建設業許可の更新をする際は、更新時に以下①~④の用件を確認されます。直前に準備するのは簡単ではありません。

①毎年の事業年度終了時から4カ月以内に決算届(決算報告書・年次報告書)されているか

【決算届の書類の具体例】

  • 決算変更届
  • 工事経歴書
  • 直前3年の工事施行金額
  • 財務諸表
  • 事業報告書(株式会社の場合)
  • 納税証明書(知事許可は事業税、大臣許可は法人税または所得税)
  • ②重要事項の変更・届出期限内にされているか

※いずれも変更が生じた日から30日以内の届出

  • 商号組織変更
  • 営業所の名称・所在地の変更
  • 従たる営業所の新設 など

③経営業務の管理責任者・専任技術者の常勤勤務があるか

経営業務の管理責任者とは、許可を受けようとする建設業に関して常勤で5年以上の経営経験をもつ者を指します。

なお、専任技術者とは該当の事業所に常勤しており、建設業の専門的な知識と経験を持つ人のことです。常勤勤務とは、営業所から居住地が近く、通勤が十分に可能であることを指します。

④社会保険への加入

社会保険に未加入の事業所は建設業許可の対象外です。

補足:特定建設業の場合は更新時も財産要件が求められる

建設業許可の取得ではご存じの通り、財産要件として自己資本が500万円以上ある等の「財産要件」があります。一度許可をとったあとの更新での財産要件の有無ですが、一般建設業なのか特定建設業なのかで違いがあります。特定建設業では5年ごとの更新のたびにすべての「財産要件」をすべて満たさなければなりません。

一般建設業(1件の元請工事につき発注額が4,000万円未満の建設工事を扱える) 特定建設業(1件の元請工事につき発注額が4,000万円以上の建築工事を扱える)
財産要件なし 財産要件あり

① 自己資本が500万円以上あること。
② 500万円以上の資金調達能力があること。
③ 直前5年間に建設業許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在、建設業許可を有していること。

建設業許可の更新申請に必要な費用

許可更新の申請には以下の費用がかかります。

知事許可 大臣許可
50,000円 50,000円

建設業許可更新を自分で申請するのが不安という方は、行政書士に依頼する方法もあります。行政書士に更新申請を依頼する費用相場についての記事もあわせてご参照ください。

関連記事:建設業許可の更新申請を行政書士に依頼するときの費用相場は?

建設業許可の更新申請で必要な書類

建設業許可の更新手続きでは、新規の時よりも必要書類が少なめです。しかし、前回の取得時の許可申請書などを紛失している場合はこの限りではないため、許可申請の手続き書類は引き続き大切に保管しましょう。

  • 5年間の決算変更届(事業年度終了報告)(受付印があるもの)
  • 前回の許可申請書
  • 変更届(対象であれば)
  • 役員、技術者、所在地など、5年間に変更のあったもの全ての控え
  • 経営業務の管理責任者、専任技術者の常勤性を証明できる書類

建設業許可の更新に必要な書類については詳しくは次の記事もあわせてご参照ください。

関連記事:建設業許可の申請をする時に必要な書類とは

まとめ

「建設業許可を更新できない」をテーマに、更新をし忘れてしまったケースの対応、そもそも更新を忘れないための対応策、更新要件・費用・必要書類について解説しました。

建設業許可の更新忘れには建設業の許可の更新期限を既に過ぎてしまった場合、有効期限を過ぎてしまった場合など複数のパターンがあります。

大切なのは更新忘れを防ぐチェック管理体制や、更新日の異なる業種は一本化するなどの効率化、更新を忘れていることに気づいた時点で管轄の役所に相談することです。

建設業許可で困ったことや相談事がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

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