建設業許可変更届出書の出し方:様式・期限・費用・必要書類・記載例

2021/12/7

2023/09/19

【この記事の監修】

伊東綜合事務所 代表 伊東良之

伊東綜合事務所

代表/行政書士伊東 良之

2008年に行政書士事務所を開業以降、高度専門職や技術・人文知識・国際業務などの就労系在留資格を中心に、配偶者、永住などの身分系在留資格にも幅広く対応。
自分自身も外国で就労ビザを取得し働いた経験を踏まえ、不安を感じながらも日本での活躍を希望する外国人にとって一番近い存在になるべく丁寧な対応を心掛け、在留資格申請を行っている。

今回の記事は、建設業許可をお持ちの事業主向けに変更届の出し方や手順について解説します。

建設業許可は一度申請に通ると、5年間有効です。

しかし、有効期限内でも1年に1度は「決算変更届(事業年度終了報告書)」という書面を提出する必要があり、忘れてしまうと建設業許可が取り消されてしまうこともあります。

建設業許可の取得には費用も労力もかかるので、忘れずに決算変更届を提出しましょう。

本記事をお読みになったら、建設業許可の変更届について何をすればよいかがご理解いただけます。


建設業許可の変更届の出し方

建設業許可は他の事業系の許認可に比べ、厳しい法律下で管理されています。

建設業許可とは、建設業法第三条第一項により規定され、許可制となったものです

建設業許可をした事業者の状況は常に把握するべき、と建設業法で規定されるため、変更があったときに都度提出する以外にも、毎年1度は必ず提出しなければいけない変更届があります。

なお、変更届の提出を怠ると罰則があります。

毎年1度は全許可業者が提出する変更届

何も変更がなくても1年に1回出す建設業許可の変更届として、「決算変更届」(別名:事業年度終了届)があります。

変更届は「変更があった年だけ出せばいいのかな?」と考える方もいるかもしれませんが、決算変更届(事業年度終了届)を事業の終了から4カ月以内に提出しないと、建設業許可の更新手続きで失敗する可能性があります。

関連記事:建設業許可の更新忘れの失敗例5つと対応策と申請要件を解説

決算変更届(事業年度終了届)では、毎年の工事内容の実績や財務状況などを税務署に申告する書類をもとに記載します。

事業終了時に次の流れで決算変更届(事業年度終了届)を提出します。

  1. 事業年度終了
  2. 決算を確定し財務諸表(決算書)を作成する
  3. 2カ月以内に決算書をもとに税金を納付する
  4. 決算変更届(事業年度終了届)の作成と提出をする

事業年度終了届は「事業年度終了日から4カ月以内の提出」ではありますが、税金の申告をしてからでないと提出できないため、実質2カ月程度しか猶予期間はありません。

建設業の決算変更届(事業年度終了報告書)の様式は、各自治体や国土交通省の各地方整備局の公式ホームページから取得できます(別紙8)。「決算変更届 自治体名(例:東京都)」などのキーワードでネット検索し、該当の変更届をダウンロードし、届け出ましょう。

(参考)変更届出書の例:国土交通省 北陸地方整備局

決算変更届の添付書類

決算変更届(事業年度終了届)には添付書類が必要です。添付書類の種類は多いので、余裕のある計画を立てて準備しましょう。

【添付】

  • 工事経歴書(様式第2号)
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
  • 財務諸表(損益計算書)※様式第16号(完成工事原価報告書付)又は第19号
  • 財務諸表(貸借対照表)※様式第15号
  • 株主資本等変動計算書(様式第17号)、注記表(様式第17号の2) ※法人のみ必要
  • 事業報告書(任意様式)  ※特例有限会社を除く
  • 附属明細表 (様式第17号の3)※一部例外あり
  • 納税証明 ※知事許可は「都道府県税事務所」、大臣許可は所轄の「税務署」で取得
  • 使用人数を記載した書面(様式第4号) ※ 従業員数に変更があった場合に限ります。
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号) ※令第3条に規定する使用人の一覧表に変更があった場合に限ります。
  • 定款(任意様式) ※ 定款に変更があった場合に限ります。※ 法人のみ必要

なお、添付書類のテンプレートは各地方整備局や自治体の公式ホームページよりダウンロードできます。

(参考)東京都の場合:建設業許可 手引、申請書類等|東京都都市整備局

1点注意として、決算変更届(事業年度終了届)で提出する「貸借対照表」は一般的な貸借対照表には使われない、建設業独自の勘定科目が使われています。

作成の方法がわからない場合は、建設業の各種申請の経験や専門知識をもつ行政書士に依頼するのもひとつの方法です。

事業主側の変更で届け出る必要のある変更届

もう一つの変更届は、事業主側で変更した場合に提出するものです。

ご存じの通り、建設業許可は土木一式工事、建築一式工事、 大工工事、左官工事 、とび・土工など全部で29もの種類があります。そのため、新規で許可申請した時よりも建設業の範囲を追加した場合は、「業種追加」として「変更届」を出す必要があります。

変更届の提出が必要な例:大工工事、とび・土工で建設業許可を得ていたが、許可の有効期限内に左官工事の技術者と管理責任者を採用した

そのほか、役員の変更や事業所の移転などの以下の項目で変更があったときも、変更届の提出は必要です。提出期限は変更が生じた時点から2週間以内、または30日以内の2つに分かれています。

2週間以内 30日以内
  • 常勤役員と常勤役員を補佐する者(個人事業主は不要)
  • 経営業務の管理責任者
  • 専任技術者
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人
  • 新たに営業所の代表になった者がいる
  • 健康保険の加入状況(人数の増減はのぞく)
  • 商号
  • 営業所の名称
  • 営業所の所在地、電話番号、郵便番号
  • 営業所の新設
  • 営業所の廃止
  • 営業所の業種追加
  • 資本金額
  • 新たに役員・支配人になった者がいる

上記で「健康保険の加入状況」は令和2年10月から新たに条件として加わりました。

社会保険の加入状況に変更があった場合、2週間以内に届け出ます。

「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とありますが、具体的には営業所や支店の代表者のことです。「建設業の事業所内で責任者や上役が変わる場合は変更届が必要」と覚えておきましょう。

変更届の手続きで必要な書類

変更届で必要な書類はどのような手続きをするのかにより異なります。

決算変更届(事業年度終了届)のように10種類近くも提出する必要はありません。参考までに、変更内容ごとに必要となる書類をいくつかご紹介します。

変更内容 必要書類 提出期限
常勤役員を変更した
  • 変更届出書(様式第22号の2)
  • 常勤役員等証明書(様式第7号)
  • 常勤役員等の略歴書(様式第7号別紙)
2週間以内
営業所の専任技術者を変更したとき
  • 変更届出書(様式第22号の2)
  • 専任技術者証明書(変更)(様式第8号)
2週間以内
経営業務の管理責任者または営業所の専任技術者が必要な基準を満たさなくなったとき
  • 変更届出書(様式第22号の2)
  • 届出書(様式第22号の3)
2週間以内
商号又は名称を変更したとき
  • 変更届出書(様式第22号の2)

【添付】登記事項証明書 ※ 登記事項証明書の添付は商業登記の変更を必要とする場合のみ

30日以内
資本金額(又は出資総額)に変更があったとき
  • 変更届出書(様式第22号の2)

【添付】登記事項証明書 ※ 登記事項証明書の添付は商業登記の変更を必要とする場合のみ

30日以内

他のケースについては次の資料「P.10~P.13」をご参照ください。

【許可申請に必要となる書類の一覧】〈令和3年1月1日より適用〉|国土交通省

建設業許可の変更届の記載例

建設業許可の変更届をまだ書いたことがない方は、記載例を見ながら作成することでケアレスミスを防げます。

変更届の様式は各自治体や各地方整備局により若干違いがあります。

ネット検索で「建設業許可 変更届 自治体名(管轄整備局の地域名)」で探すと、該当の地域の変更届のページリンクが表示されますので、そのページから記載例をダウンロードできます。

出典:東京都都市整備局|建設業許可 手引、申請書類等>記載例

(参考)東京都の例:建設業許可 手引、申請書類等>記載例|東京都都市整備局

記載例が見つからず、書き方がわからない場合は専門知識をもつ行政書士に相談してみるか、または変更届の提出先の担当窓口へ問い合わせましょう。


建設業許可の変更届の提出手順

建設業許可の変更届は、以下の手順で提出します。

書類をすべて揃えて提出するのは慣れている方でも数日、建設業許可をとって初めて変更届をする事業者では1〜2週間はかかるでしょう。ケースによっては提出後に差し戻され、書類の再提出が必要なこともあります。

建設業許可の変更届の準備と提出は余裕をもってスタートしましょう。

①書類を揃える

各自治体や各地方整備局のホームページで「変更届」の様式をダウンロードします。変更届は正本とその写しの2部必要です。一部の自治体では計3枚用意するところもあります。

(参考)東京都の場合:建設業許可 手引き 申請書類など|東京都利整備局

②記入する

変更届の記入項目は以下の通りです。許可番号は「許可通知書」に記載されています。

  • 事業者名
  • 許可番号
  • 法人番号
  • 届け出事項
  • 変更内容
  • 変更日

③自治体や地方整備局へ持参または郵送する

作成した書類は、建設業許可を受けた自治体や地方整備局へ持参するか郵送します。

手続きの管轄がわからない場合、建設業許可を受けたときに送付された「許可通知書」の都道府県名を確認しましょう。

(参考)国土交通省|許可行政庁一覧表

令和2年4月から建設業許可の変更届の提出が簡略化されました

以前は大臣許可の「変更届の提出先は都道府県の管轄窓口」というルールで運営されていましたが、令和2年4月1日より「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和元年法律第26号)により、各地方整備局へ直接提出することになり、手続きが簡略化されました。

手続き簡略化のために簡素化された書類は次の通りです。

提出不要になった書類一覧
国土交通大臣・都道府県知事許可 共通
  • 国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・追加・削除)
国土交通大臣許可
  • 営業所に関する書類(営業所の地図、不動産登記簿謄本又は不動産賃貸借契約書等の写し)
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の健康被保険者証カード(両面)の写し
  • 経営業務管理責任者等の住民票及び令3条に規定する使用人の委任状

詳細は、以下のリンクより国土交通省の資料をご参照ください。

(参考)国土交通省|令和2年4月1日以降に簡素化される書類

建設業許可の変更届にかかる費用

建設業許可の変更届を提出する際の法的な費用は(証紙代)ありません。新規で建設業許可を申請する際は、役所に納入する手数料がありました。しかし、変更届の提出はご自身の事業所で書類作成をするか、以下の相場で行政書士に頼む方という2パターンがあります。

ご参考までに、一般的に行政書士に建設業許可の変更手続きを依頼する場合、以下が報酬の相場となっています。知事許可よりも大臣許可の方が作成する書類が大変なので、金額は高めになっています。

<知事許可>

項目 手数料
決算変更届(事業年度終了届) 4万円
業種追加 7万円~8万円
本店所在地変更届 4万円
営業所の新設 6万円

<大臣許可>

項目 手数料
決算変更届(事業年度終了届) 4万円
業種追加 10万円
本店所在地変更届 5万円
営業所の新設 8万円

まとめ

建設業許可の変更届について、必要書類や手続きの流れをご説明いたしました。

ポイントは建設業許可の変更届には、変更がなくても提出しなくてはいけない「決算変更届」(別名:事業年度終了報告書)と、変更があるタイミングで出す変更届の2つがある点です。

変更届を出し忘れて、建設業許可の更新手続きができなくなることがないよう、しっかりスケジューリングして変更届を出しましょう。

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