電気工事の建設業許可を申請する際の要件を解説!
2024/6/4
2024/08/05
電気工事業の建設業許可を申請する再は他の業種で建設業許可を申請する場合と異なり、注意しなくてはならない点があります。
そもそも建設業は建設業許可を取得しなくても行うことができますが、電気工事業は役所に対して手続きを行わないと施工することができません。
まずは建設業許可と電気工事業登録の制度について確認しましょう。
電気工事業で建設業許可を申請する場合の要件
請負金額500万円以上(建築一式工事は1,500円以上)の工事は建設業許可が無いと受注することはできません。
建設業許可を取得するには以下の「ヒト・モノ・カネ」の要件を満たすことが必要です。
電気工事業の建設業許可を申請する場合
ヒトの要件
経営業務の管理責任者(経営業務の管理体制を1人で構築する場合)
(令和2年10月1日に建設業法が改正され、経営業務の管理体制を構築する方法はいくつかのパターンが考えられますが、ここでは多数を占める申請パターンにてご説明致します。)
常勤の取締役が建設業を行う会社の取締役として5年以上の経験を有する者
専任技術者
以下の国家資格保有者
一級電気工事施工管理技士
二級電気工事施工管理技士
技術士 建設、総合技術監理(建設)
技術士 建設「鋼構造物及びコンクリート」、総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)
技術士 電気電子、総合技術監理(電気電子)
第一種電気工事士
第二種電気工事士 ※免許交付後実務経験三年以上
電気主任技術者 一種・二種・三種 ※免許交付後実務経験5年以上
建築設備士 ※資格取得後電気工事に関し実務経験1年以上
一級計装士 ※合格後電気工事に関し実務経験1年以上
登録電気工事基幹技能者
以下の指定学科(電気工学又は電気通信工学に関する学科)卒業+実務経験
高等学校・中等学校指定学科卒業+実務経験5年
大学・短期大学・高等専門学校指定学科卒業+実務経験3年
専修学校指定学科卒業+実務経験5年(専門士、高度専門士であれば3年)
なお、電気工事における無資格者の実務経験は、電気工事士法の規定により原則として認められません。
モノの要件
申請する会社が単独で使用することができる営業所が無いと建設業許可申請はできません。
東京都では営業所の要件として以下の項目を要求しています。
ア 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
イ 電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている、個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていること
なお、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるよう看板等掲示し、営業形態も別とすること
ウ 常勤役員等又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)が常勤していること
エ 専任技術者が常勤していること
オ 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として認められません))
カ 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること
(建設業許可申請の手引き令和2年度第2版東京都都市整備局市街地建築部建設業課発行より抜粋)
カネの要件
一般建設業の許可を申請する場合の財産的要件は以下のとおりです。
自己資本が500万円以上あること。
もしくは、
500万円以上の資金調達能力があること。
「自己資本が500万以上であること」とは、法人では直近の貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額になります。
「500万円以上の資金調達能力があること」とは、法人の名義の口座における、取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書により証明します。
(預金残高証明書の有効期間は「金融機関の証明日から1ヶ月」しかないので注意が必要です。)
以下の記事もあわせてお読みください
電気工事を行うときに建設業許可が必要かどうかは500万が基準
上記の基本的な建設業許可要件である「ヒト・モノ・カネ」に加えて、令和2年10月1日の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。
電気工事業登録について
電気工事業を営むには、請負金額に関わらず、必ず役所への登録、もしくは届出が必要です。
この点が他の建設業許可業種と異なる点です。
届出先は営業所が1つの自治体にだけある場合は都道府県、複数の自治体に営業所を設置し電気工事業を行う場合は国(経済産業省)へ手続きを行います。
電気工事業の手続きは、電気工作物の種類と電気工事業者の種類によって4パターンあります。
建設業許可なし
建設業許可あり
電気工作物の種類
一般電気工作物
登録電気工事業者
みなし登録電気工事業者
一般電気工作物及び
自家用電気工作物
登録電気工事業者
みなし登録電気工事業者
自家用電気工作物
通知電気工事業者
みなし通知電気工事業者
一般電気工作物とは、一般家庭や商店等に設備される電気工作物です。
自家用電気工作物とは、最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など)で電気事業の用に供する電気工作物以外の電気工作物です。
電気工事業者ごとの申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 登録電気工事業者
- 申請書類
- 登録電気工事業者登録申請書(様式第1)
- 登録申請者の誓約書
- 主任電気工事士等の電気工事士免状の写し
- 主任電気工事士の誓約書(主任電気工事士が従業員の場合必要)
- 主任電気工事士の雇用証明書(主任電気工事士が従業員の場合必要)
- 主任電気工事士等の実務経験証明書(主任電気工事士が第二種電気工事士の場合必要)
- 添付書類・確認書類等
- 登録申請者の登記簿謄本(法人の場合必要)
- 登録申請者の住民票(個人事業者の場合必要)
- 主任電気工事士等の電気工事士免状(原本提示)
- 手数料(22,000円)
まとめ
電気工事業で建設業許可を取得しようとするときは、建設業許可だけでなく、電気工事業登録の手続きとセットで検討する必要があります。
また、建設業許可が「知事許可」と「大臣許可(国土交通省)」があるように、電気工事業登録においても「知事登録」と「大臣登録(経済産業省)」があります。2つ以上の都道府県に電気工事業を行う営業所を設置するときは「大臣登録」になります。
更に電気工事業は「指定建設業」と言われる7つ業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)のうちの1つで、この7業種について、特定建設業の許可を受けようとする場合は、国土交通大臣が定める国家資格者等を営業所に置かなければなりません。
電気工事業は建設業許可の29業種の中でも行政手続きが少し複雑なので、役所や専門家にしっかりと確認しながら申請までに準備をする必要があります。
2024/6/4
2024/08/05
電気工事業の建設業許可を申請する再は他の業種で建設業許可を申請する場合と異なり、注意しなくてはならない点があります。
そもそも建設業は建設業許可を取得しなくても行うことができますが、電気工事業は役所に対して手続きを行わないと施工することができません。
まずは建設業許可と電気工事業登録の制度について確認しましょう。
電気工事業で建設業許可を申請する場合の要件
請負金額500万円以上(建築一式工事は1,500円以上)の工事は建設業許可が無いと受注することはできません。
建設業許可を取得するには以下の「ヒト・モノ・カネ」の要件を満たすことが必要です。
電気工事業の建設業許可を申請する場合
ヒトの要件
経営業務の管理責任者(経営業務の管理体制を1人で構築する場合)
(令和2年10月1日に建設業法が改正され、経営業務の管理体制を構築する方法はいくつかのパターンが考えられますが、ここでは多数を占める申請パターンにてご説明致します。)
常勤の取締役が建設業を行う会社の取締役として5年以上の経験を有する者
専任技術者
以下の国家資格保有者
一級電気工事施工管理技士
二級電気工事施工管理技士
技術士 建設、総合技術監理(建設)
技術士 建設「鋼構造物及びコンクリート」、総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)
技術士 電気電子、総合技術監理(電気電子)
第一種電気工事士
第二種電気工事士 ※免許交付後実務経験三年以上
電気主任技術者 一種・二種・三種 ※免許交付後実務経験5年以上
建築設備士 ※資格取得後電気工事に関し実務経験1年以上
一級計装士 ※合格後電気工事に関し実務経験1年以上
登録電気工事基幹技能者
以下の指定学科(電気工学又は電気通信工学に関する学科)卒業+実務経験
高等学校・中等学校指定学科卒業+実務経験5年
大学・短期大学・高等専門学校指定学科卒業+実務経験3年
専修学校指定学科卒業+実務経験5年(専門士、高度専門士であれば3年)
なお、電気工事における無資格者の実務経験は、電気工事士法の規定により原則として認められません。
モノの要件
申請する会社が単独で使用することができる営業所が無いと建設業許可申請はできません。
東京都では営業所の要件として以下の項目を要求しています。
ア 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
イ 電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている、個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていること
なお、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるよう看板等掲示し、営業形態も別とすること
ウ 常勤役員等又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)が常勤していること
エ 専任技術者が常勤していること
オ 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として認められません))
カ 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること
(建設業許可申請の手引き令和2年度第2版東京都都市整備局市街地建築部建設業課発行より抜粋)
カネの要件
一般建設業の許可を申請する場合の財産的要件は以下のとおりです。
自己資本が500万円以上あること。
もしくは、
500万円以上の資金調達能力があること。
「自己資本が500万以上であること」とは、法人では直近の貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額になります。
「500万円以上の資金調達能力があること」とは、法人の名義の口座における、取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書により証明します。
(預金残高証明書の有効期間は「金融機関の証明日から1ヶ月」しかないので注意が必要です。)
以下の記事もあわせてお読みください
電気工事を行うときに建設業許可が必要かどうかは500万が基準
上記の基本的な建設業許可要件である「ヒト・モノ・カネ」に加えて、令和2年10月1日の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。
電気工事業登録について
電気工事業を営むには、請負金額に関わらず、必ず役所への登録、もしくは届出が必要です。
この点が他の建設業許可業種と異なる点です。
届出先は営業所が1つの自治体にだけある場合は都道府県、複数の自治体に営業所を設置し電気工事業を行う場合は国(経済産業省)へ手続きを行います。
電気工事業の手続きは、電気工作物の種類と電気工事業者の種類によって4パターンあります。
建設業許可なし | 建設業許可あり | ||
電気工作物の種類 | 一般電気工作物 | 登録電気工事業者 | みなし登録電気工事業者 |
一般電気工作物及び
自家用電気工作物 |
登録電気工事業者 | みなし登録電気工事業者 | |
自家用電気工作物 | 通知電気工事業者 | みなし通知電気工事業者 |
一般電気工作物とは、一般家庭や商店等に設備される電気工作物です。
自家用電気工作物とは、最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など)で電気事業の用に供する電気工作物以外の電気工作物です。
電気工事業者ごとの申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 登録電気工事業者
- 申請書類
- 登録電気工事業者登録申請書(様式第1)
- 登録申請者の誓約書
- 主任電気工事士等の電気工事士免状の写し
- 主任電気工事士の誓約書(主任電気工事士が従業員の場合必要)
- 主任電気工事士の雇用証明書(主任電気工事士が従業員の場合必要)
- 主任電気工事士等の実務経験証明書(主任電気工事士が第二種電気工事士の場合必要)
- 添付書類・確認書類等
- 登録申請者の登記簿謄本(法人の場合必要)
- 登録申請者の住民票(個人事業者の場合必要)
- 主任電気工事士等の電気工事士免状(原本提示)
- 手数料(22,000円)
まとめ
電気工事業で建設業許可を取得しようとするときは、建設業許可だけでなく、電気工事業登録の手続きとセットで検討する必要があります。
また、建設業許可が「知事許可」と「大臣許可(国土交通省)」があるように、電気工事業登録においても「知事登録」と「大臣登録(経済産業省)」があります。2つ以上の都道府県に電気工事業を行う営業所を設置するときは「大臣登録」になります。
更に電気工事業は「指定建設業」と言われる7つ業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)のうちの1つで、この7業種について、特定建設業の許可を受けようとする場合は、国土交通大臣が定める国家資格者等を営業所に置かなければなりません。
電気工事業は建設業許可の29業種の中でも行政手続きが少し複雑なので、役所や専門家にしっかりと確認しながら申請までに準備をする必要があります。