建設業許可の申請をする時に必要な書類と記載すべき内容について解説!

2024/7/23

2024/08/05

【この記事の監修】

伊東綜合事務所 代表 伊東良之

伊東綜合事務所

代表/行政書士伊東 良之

2008年に行政書士事務所を開業以降、高度専門職や技術・人文知識・国際業務などの就労系在留資格を中心に、配偶者、永住などの身分系在留資格にも幅広く対応。
自分自身も外国で就労ビザを取得し働いた経験を踏まえ、不安を感じながらも日本での活躍を希望する外国人にとって一番近い存在になるべく丁寧な対応を心掛け、在留資格申請を行っている。

ある条件の建設業を営むとき、建設業許可を申請しなくてはいけません。建設業許可の申請は想像以上に大変で、必要な書類は30種類以上を超え、内容も複雑です。

今回は建設業許可の申請を考えられている方に向けて、建設業許可の基本として建設業許可の目的や建設業許可が必要になる工事についておさらいしてから、必要となる申請書類と記載すべき内容について詳しく解説します。

*建設業許可の申請書類の例として、東京都のケースでご紹介していきます

Contents

建設業許可の目的・建設業許可が必要な工事

建設業許可は、建設業を営むときは基本的に取得するものです。とはいえ、軽微な工事を請け負う程度であれば必要としない場合もあります。

建設業許可の目的を通して「建設業許可が必要な工事」を整理して解説します。

建設業許可の目的は依頼人と事業者を保護すること

建設業許可の目的は「依頼人と事業者を保護すること」にあります。

そもそも建設業法は、手抜き工事や中抜き工事といった不正行為による不良工事を防止し、依頼者が不当な不利益を被ること防いだり、建設業界の健全な発達を促したりすることを目的に制定されました。条件を満たした事業者だけが建設業を運営できる「許可制」を取ることで、理想のあり方を実現させようとしています。

建設業法の目的

  • 建設業を営む者の資質の向上させる(技術検定制度など)
  • 適切な取引をする(請負契約の原則の明示、契約書の記載事項の法定規則の遵守など)

建設業許可が必要な工事

建設業許可は一定の条件を以上の建設工事を請け負う場合に必要です。

必要になるケースは「建築一式工事以外」or「建築一式工事」によって異なります。

「建築一式工事以外」で建設業許可が必要なケース

「建築一式工事以外」の建設工事を行うとき、1件の請負代金が500万円(消費税込み)以上発生するようなら。建設業許可が必要です。

また、工事の受注のケースによっては1つの工事を2つ以上の契約に分割して請け負うこともあるでしょう。その場合は各契約の請負代金の額の合計額が500万円以上になると建設業許可が必要です。

請負代金を分割すれば建設業許可が必要ないということにはならないので注意しましょう。

「建築一式工事」で建設業許可が必要なケース

「建築一式工事」を行うときに建設業許可が必要になるケースとして2パターンが考えられます。

1つは、1件の請負代金が1,500万円以上のときです。このケースでは「建築一式工事以外」の建設工事同様、分割して請け負っているときは各契約の合計額が対象となります。

もう1つは木造住宅で延べ面積が150㎡以上のときです。

請負代金か木造住宅の延べ面積、どちらか一方の条件が満たされているときは、建設業許可の取得が必要です。

建設業許可の申請の際に必要になる基本的な書類

建設業許可の申請では、都道府県知事に申請するケースと国土交通大臣に申請するケースの2つがあります。また、申請書の提出先の地方自治体によって提出書類の名称、必須提出・任意提出など、若干の違いがあります。

今回は一例として、東京都での建設業許可の申請に必要な書類をご紹介します。

必要となる書類は次の通りです。それぞれ解説します。

  1. 建設業許可申請書
  2. 役員等の一覧表
  3. 営業所一覧表
  4. 専任技術者一覧表
  5. 工事経歴書
  6. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  7. 使用人数
  8. 誓約書
  9. 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
  10. 定款
  11. 財務諸表
  12. 営業の沿革
  13. 所属建設業者団体
  14. 健康保険等の加入状況
  15. 主要取引金融機関名
  16. 常勤役員等証明書
  17. 常勤役員等の略歴書
  18. 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
  19. 専任技術者証明書
  20. 実務経験証明書
  21. 指導監督的実務経験証明書
  22. 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
  23. 株主(出資者)調書
  24. 登記事項証明書
  25. 事業税の納税証明書
  26. 登記されていないことの証明書
  27. 身分証明書
  28. 常勤役員の確認資料
  29. 専任技術者の確認資料
  30. 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料
  31. 法人番号を証明する資料

必要書類1:建設業許可申請書

建設業許可を取得したい旨を申し出るために必要な書類で、建設業許可の申請の中で一番の肝になる書類です。

建設業許可申請書は電算入力用紙に記入するタイプの書類です。つまり、申請者が記入した情報を機械で読み取るのです。

記入には記号や数字が多く使われるほか、空欄やふりがなの有無などの細かいルールがあります。少しでも数字で記入しなければいけないところをひらがななどの文字で記入してしまうと、内容が正しくても機械がきちんと読み取ってくれないため注意が必要です。

必要書類2:役員等の一覧表

「役員等」というと、法人の方だけが対象のように見えますが、法人の方だけでなく個人事業主の方も提出する必要がある書類です。法人の場合は取締役、業務執行社員、理事などの役員の名前、個人事業主の場合は事業主本人の名前を記載します。なお、「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主」や「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」も個人であれば記載する必要があります。また、顧問や相談役なども記入します。

必要書類3:営業所一覧表

営業所一覧表には「許可申請者の主たる営業所と従たる営業所を記入する」という文言が記載されています。

「主たる営業所」とは本社や本店のことを指し、「従たる営業所」は支店というイメージで理解しましょう。

なお、本社や本店を設置していなければいけば、建設業許可を取得することができないので、未記入では申請できません。

また、営業しようとしている建設業の業種をすべて選択することも忘れてはいけません。

必要書類4:専任技術者一覧表

建設業はほかの事業とは違い、特別な知識や技能が必要な業種です。一定の経験や資格を有している人物を専任技術者として各営業所に最低1人は配置することが義務付けられています。

専任技術者一覧表は営業所ごとに配置される専任技術者を記入する書類です。

必要書類5:工事経歴書

許可申請者の請け負ってきた工事の実績を記入するものです。ただし、経営事項審査を受けるかどうかで記入の仕方が異なるので注意しましょう。審査を受けるかどうかは「公共性のある工事を国や地方自治体から直接請け負う事業を行っているかどうか」で決まります。前述の業務を行うときは審査を受けなければなりません。

工事経歴書の記載は、審査を受けないケースでは「主な完成工事(10件程度)」について、請負代金の大きい順に記載し、その後主な未成工事について、請負代金の大きい順に記載します。

一方、審査を受けるケースでは「決算期間内の総売上高について元請・下請を区別し、その内訳をすべて記載する」というちょっと手間のかかる書き方になります。

必要書類6:直前3年の各事業年度における工事施工金額

直近3年間で完成させた施工工事の金額を記入するものです。工事経歴書と一致していなければいけない項目もあるため、注意が必要です。また実績がないときも提出しなくてはいけない書類なので、「直前3年」という言葉に惑わされて「自分は関係ない」と勘違いしないようにしましょう。

必要書類7:使用人数

各営業に従事する役員や従業員を、専任技術者やそれ以外の技術者、事務関係の従業員にわけて記入する書類です。ついつい忘れがちなのが代表者も含めなければいけないことです。法人の場合は代表取締役、個人の場合は事業主も忘れずに数えてください。

必要書類8:誓約書

提出した書類に嘘がないことや建設業法で定められている欠格要件に該当しないことを制約する書類です。(押印は不要になりました。)

必要書類9:建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表

建設工事の請負契約の締結及びその履行に関して一定の権限を有する人物の氏名を記入するものです。支店や支社を設ける場合はそこに必ず配置しなければいけないと定められているため、それぞれに配置されている人物の氏名を漏れなく記入しましょう。

必要書類10:定款

会社の基本的な規則を定めた定款。法人の場合にのみ提出が求められます。

必要書類11:財務諸表

「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「注記表」「付属明細書」を財務諸表一式として作成します。ただ、建設業許可の申請で提出する財務諸表は、一般的な決算や税務申告で使用する様式とは異なるので注意が必要です。

個人事業主の新規開業で、財務諸表一式を作る材料がない場合は残高証明書を提出します。

必要書類12:営業の沿革

申請業者の沿革を記入します。ポイントは創業以後の沿革について「商号変更や組織再編の関係だけでなく、営業の休止等についても記載する必要がある」ということです。

必要書類13:所属建設業者団体

申請者が所属している建設業者団体について記入する書類です。未加入の場合も「無し」と記載してください。

必要書類14:健康保険等の加入状況

営業所ごとに社会保険の種類に応じて加入状況を記入する書類です。

必要書類15:主要取引金融機関名

メインで取引をしている金融機関について記入する書類です。金融機関には日本政策金融公庫などの政府系と、メガバンクや地方銀行などの普通銀行、商工組合、信用金庫などの金融機関と、様々な種類があります。記載する際は系統ごとで区別する必要があります。

必要書類16:常勤役員等証明書

この証明書は建設業の経営体制によって作成方法が異なります。

1つは経営業務の管理責任者を1名備えることによって、建設業の経営体制を有することを証明するケースです。

もう1つは常勤役員等を1名と、その者を財務・労務・業務の分野において直接に補佐する者3名(同一人物でもOK)を備えることで、建設業の経営体制を有することを証明するケースです。

ケースによって使用する書類の様式が異なるので注意してください。

必要書類17:常勤役員等の略歴書

建設業の経営経験及び経営補助経験や、財務管理・労務管理・業務運営に関する管理職経験の経歴を携わった年数も含めて記載する書類です。

必要書類18:常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書

財務管理・労務管理・業務運営に関する経歴を、携わった年数も含めて記載します。

必要書類19:専任技術者証明書

各営業所に配置する専任技術者の氏名や生年月日、担当する建設工事の種類などの情報を記入します。

必要書類20:実務経験証明書

専任技術者を実務経験によって証明する場合、その実務経験を記入する書類です。地方自治体によって書き方が異なることがあるので、それぞれのルールに従って記載します。

なお、専任技術者を資格等で証明する場合は不要になります。

必要書類21:指導監督的実務経験証明書

特定建設業許可を申請する場合に必要になる書類で、専任技術者を実務経験によって証明するときに、指導監督的な実務経験を記入します。(監理技術者証で証明する場合は不要です。)

特定建設業許可は建築一式工事以外の工事の場合は4,000万円以上、建築一式工事の場合は6,000万円以上の下請契約金額が発生する場合に、元請けとして取得しなくてはいけない許可です。

よって一般建設業許可の申請では必要ありません。

必要書類22:許可申請者の住所、生年月日等に関する調書

許可申請者本人や役員に関する情報を記入する書類です。必要書類2で説明した「役員等の一覧表」に記載した人物分を、1人ずつ作成します。

必要書類23:株主(出資者)調書

申請者の株主または出資者に関する情報を記入する書類です。法人の場合にのみ必要で、個人事業主には必要ありません。

必要書類24:登記事項証明書

発行後3か月以内の登記事項証明書の提出が必要です。法人の場合にのみ必要で、個人事業主には必要ありません。

必要書類25:事業税の納税証明書

納税証明書は法人の場合でも個人の場合でも提出が求められる書類です。

必要書類26:登記されていないことの証明書

成年被後見人・被保佐人に該当していると建設業許可を取得することができません。成年被後見人・被保佐人でないことを証明する登記事項証明書を法務局で取得し、提出してください。

必要書類27:身分証明書

また、「破産者で復権を得ないもの等」に該当しないことも証明しなければいけません。本籍地の区市町村長が発行した証明書を提出しましょう。

必要書類28:常勤役員の確認資料

経営業務の管理責任者の証明となる「建設業の経営経験」を確認できる書類を提出しなくてはいけません。書類としては確定申告書、工事の契約書や請求書の写し、履歴事項全部証明書などが必要になります。

なお、建設業の経営経験は5年以上なければなりません。

必要書類29:専任技術者の確認資料

専任技術者の証明となる「国家資格等」や「実務経験」を確認できる書類を提出します。確認できるものとしては資格証の写し、工事の契約書や請求書の写しなどがあります。

必要書類30:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料

建設業許可を取得するためには社会保険への加入が義務付けられています。加入していることを証明するために「健康保険」「厚生年金保険」「火災保険」などの保険料の申告や納付の証明となるものを提出することが求められるので、手元にない場合は用意しておきましょう。

必要書類31:法人番号を証明する資料

法人の場合は会社を設立し、税務署へ設立届を提出すると「法人番号指定通知書」が届きます。建設業許可の申請時は特別に書類を用意する必要はなく、届いた法人番号指定通知書、もしくは国税庁の法人番号公表サイトで検索したページのコピーを提示すれば問題ありません。

また、当然ですが個人事業主であれば必要はありません。

建設業許可申請の注意点

国土交通大臣に提出する場合は「収入印紙等貼付用紙」が必要

建設業許可の申請を国土交通大臣に申請する場合、上記の必要書類のほかに「収入印紙等貼付用紙」が必要です。

収入印紙等貼付用紙は、申請手数料を支払う際に購入した収入印紙を貼り付ける用紙です。

なお、東京都に申請する場合は現金で支払うために必要ありません。

建設業許可の申請に必要になる書類や書式は管轄する地方自治体によって異なる

建設業許可の申請に必要になる書類や書式は管轄する地方自治体によって異なります。

1つの例を参考にして作成してしまうと、それぞれのルールから逸脱して、きちんと申請できない可能性が出てしまいます。

申請書類を作成するときは、ご自身が申請する地方自治体の手引きを確認し、様式に合った書き方を心がけましょう。

まとめ

建設業許可の申請をするためには30種類以上の膨大な書類を用意しなくてはいけません。難しそうなら、専門家に相談することも考えましょう。

建設業許可の申請を自身でおこなうなら、各自治体が発行する建設業許可申請の手引きをしっかり確認し、決められたとおりに書類を作成し、証明書類を収集するなど、事前準備が非常に大切です。

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